介護される方々のお口の中でおこっている病気や異常は、ご本人からの訴えがない限り、周囲で介護する方々に見過ごされることが多いようです。とは言っても、ふだんお口の中を見慣れてないご家族や介護する方々が、狭いお口の中で起こっている変化を見つけて、実際に治療につなげていくのは容易なことではありません。
そこで、ガイドブックでは高齢者や要介護者のお口の中で、歯や歯ぐき、そして粘膜にどのような変化が起こっているのか、また義歯の不都合の原因はどこにあるのか、わかりやすく写真を用いてお示ししました。
また、要介護高齢者の方々が、安心、安全に食事をとっていただくためには、どのように対応すればよいのか、見やすく、わかりやすい図譜を用いて解説を加えました。お口の体操や噛む筋肉や唾液腺のマッサージなどは、おいしく安全に食べるための準備には欠かせません。食べる前のトレーニングとして、積極的に行うことをおすすめします。
連携シートは、食事観察、義歯の効能、お口の異常をそれぞれ簡便に発見できるチェックシートとしてお役立てください。要介護者のお口の状態に応じてそれぞれの連携シートを活用していただければ、歯科医院へつなぐ有用な手立てとなります。
ところで、歯科医師に訪問診療を希望したいのだけれど、どのようにしたら来てもらえるのか、そのつなぎ方が分からず不安を抱えていたり、ためらったりしていませんか? そんな時、茨城県歯科医師会「在宅歯科医療連携室」へおつなぎください。早急に対応できる歯科医院をご紹介させていただきます。ご連絡の際には、とじ込みの「訪問歯科診療申込書」をご活用ください。
本ガイドブックを介護する皆さまがご自宅や施設などで身近に携え、要介護者のお口から始まる健康増進に活用していただけたら幸いです。
編集にあたっては、医師会をはじめとして県内14職種に及ぶ、茨城県在宅歯科医療推進協議会の皆さま方のご協力、ご助言をいただきました。ここに改めて関係各位に深く感謝申し上げます。
公益社団法人 茨城県歯科医師会副会長 黒 澤 俊 夫